生鮮品の鮮度

仕事でスーパーマーケットを訪問し、相談をお受けする
ことが多くありますが、水産部門の鮮度管理について、
課題となっていることが多くあります。

水産の特徴の一つとしては、入荷が天候に左右される
ものなので、時化(シケ)の時は入荷が無いという
ことがあります。

このように、入荷に不安があるので、ついつい在庫を
抱えてしまう、また、作業の段取りを優先してしまい、
在庫を抱えてしまうなど、管理面で様々な障害があります。

それらを改善するためには、作業スケジュールの見直しや、
ルール化、従業員のスキル向上等、取り組む事が多岐に
亘ります。
まったく違う地域で、規模も異なる会社を訪問していますが、
どこも同じような悩みを抱えており、改善に向けて、同じような
取り組みをされています。
海産物の鮮度はどこでも大きな悩みといえるでしょう。

先日、仕事で、島根県大田市の和江港を訪問しました。
この港は、全国でも珍しい底引き網による1日漁と夕市を
行っています。

通常、沖合の底引き網漁は、大型船を使い、数日漁に出て、
市場へと入荷します。市場は翌日の早朝に立ちます。

一日漁とは、小型船を使い、早朝から底引き網漁を行い、
市場へと入荷します。市場は翌日の早朝に立ちます。
この方法だと、漁獲量は少ないですが、鮮度は良好です。

さらに、和江港で行っている夕市ですが、小型船で早朝から
底引き網漁を行った後、夕方に市場に入荷して直ぐに
市場が立ちます。深夜には、消費地に向けてトラックが
走りますから、鮮度は抜群に良好です。

海産物は、スーパーマーケットに入荷する以前で鮮度が
落ちていきます。入荷後の鮮度管理も大切ですが、
入荷前の鮮度を高めることも大きな改善になります。
当然、調達する価格も変わってくると思いますが、
競合との差別化には有効なハズです。

なかなか、鮮度の良さをPRすることは難しいですが、
漁の方法の違いなど、客観的な違いをしっかりと
説明し、価値を伝えていき、競合が扱っている商品
との違いを明確に打ち出して行く必要があります。

なかなか取り組みにくいかもしれませんが、
それだけに、成功すれば競合と差別化が
決定的になります。

たまたま、和江港の例を使いましましたが、
青果物等、生鮮食品では同様なことが言える
と思います。産直などを見かけますが、まだまだ
有効にPRできている企業は少ないと思います。

どこの会社も同じことに取り組んでおり、そこから
抜け出す為には、より一層の努力が必要と
なります。

それには、既成概念に囚われない、新しい発想も
必要になります。
商品の鮮度にこだわる以前に、取り組む人間の
鮮度(感覚面で)を高めることから始める必要が
あるかも知れません。

 

平成21年11月29日