取引先との健全な取引関係を構築するためには?

消費の低迷により、多くの小売業では売上の減少が続いています。

その影響もあり、食品メーカーなどには値下げ要求が強くなってきています。

経営を改善する場合、もっとも影響の大きい箇所から見直しをすることがセオリーになりますが、小売業の場合、コストの大半は「仕入」になるので、必然的に、まず仕入先への値下げ交渉から取り組むことが多くなります。

一方、食品メーカーについても同様に、経営の改善が図られますが、原料の高騰している業界では、仕入コストを下げることは難しい状況です。

また、大量に原料を仕入れる大手企業の方が有利になるので、中小の食品メーカーの仕入れ環境は更に厳しい状況になります。

そのため、製造工程の見直しや、人員削減に取り組むなどして、なんとか利益を出すために血の滲むような努力を行う企業も少なくありません。

しかし、血の滲むようなコスト削減よりも、取引先への値下げの方が圧倒的にインパクトが大きいのが実情です。

ある食品メーカー様から、将来的な取引先との付き合い方や営業のスタンスをどのように考えたら良いのか?という相談を受けました。

その理由は前述したような実情があるのですが、現状の売上を維持するためには、値下げ要求をお断りする等といった思い切った取り組みはなかなかできないとのことでした。

特に「経営陣」と「営業担当者」とで、取引先に対する考え方も異なり、営業のスタンスが定まらないようです。過去の取引の経緯などを知る「経営陣」や「古株社員」に対して、「営業担当者」は短期間で入れ替わることも多く、情報が異なることから考え方が一致しないことも多くあるようです。

このような企業にアドバイスする場合、まず、取引先毎の棚卸シートを作成することをおすすめします。主要な取引先毎に、過去数年間の取引額推移、粗利額推移、取引を継続するために必要なコストや評価指標等の数値情報を整理し、更に、経営者と営業担当者の情報を加えることで、関係者間で情報を共有し、取引先との取引のスタンスを考える資料として活用していきます。

下の画像はイメージです。たいした様式ではありませんが、原紙必要な方はメールでご連絡ください。

無題

この資料だけで、取引先の値下げ要求をお断りすることはできませんが、中期的な視点で「どこの取引先を重視していくのか」ということや、条件が悪ければ「時間をかけて取引先を変更していく」などの方針を考えることが可能になります。

健全な取引関係を構築することは一朝一夕ではできません。場当たり的な対応をするだけではなく、ある程度、長いスパンで計画的に取り組むことが大切と言えるでしょう。

令和3年8月4日