天高く馬肥ゆ~好機に警戒を怠らない

少し前までは暑かった夏も、すっかり秋の気配を感じるようになります。

秋になると思い出すのが「天高く馬肥ゆる秋」という言葉です。

なんだか、食べ物が美味しくて、馬も肥えるようなイメージがありますが、もともとの意味は実は異なります

この格言は「天高く馬肥ゆ」というのがベースになります。

使われる場面としては「天高く馬肥ゆるの候」として、手紙を書くときの時候の挨拶として利用されます。

意味としては、夏の暑さが落ち着き空は高く澄み渡り、馬が食欲を増し肥えてたくましくなる季節、つまりはすがすがししく過ごし易い秋を表す言葉になります。

しかし、この言葉のもともとの意味は異なるものになります。

昔、中国の北方で遊牧生活を営んでいた騎馬民族は、春から夏にかけて馬を肥えさせ、食料が無くなる冬が来る前、つまりは秋の収穫時期になると、逞しく肥えた馬を駆って中国に攻め込んできたそうです。

もともとの意味は「季節の良さ」ではなく「警戒をうながす」言葉だったのです。

この2年、新型コロナウイルスの影響で経済は大きく停滞しましたが、ワクチン接種が進み、効果的な飲み薬も年内には登場する予定なことから、年明けから景気が回復に向かうものと思われます。

来年は季節であれば「収穫の秋」になる可能性もあり、積極的に行動を起こす企業も増えるのでは無いでしょうか?

景気回復の見込まれる来年を「天高く馬肥ゆる季節」だとすれば、「季節の良さ」だけではなく、本来の意味である「警戒」についても注意を払う必要があると言えるでしょう。

自社のチャンスはライバル企業に取ってもチャンスになります。景気回復期にある来年は、ライバルの動きが活発になることが予測されるので、ライバルの動きを注視して、対策を練りながら慎重に、時には大胆に動く必要があるでしょう。

今までは、新型コロナウイルスの影響でライバルの動きも遅かったので、自社が動かなくても大きな差は付かなかったかもしれませんが、景気が良くなっている時期になると、ライバルが動き出すので、自社が動かないと取り返しのつかない事態になりかねません。

来年はいろいろな動きがあります。新型コロナウイルスから経済を立て直すため、様々な景気対策が講じられると思われます。既に補助金なども多く公募されています。

物事には表があれば必ず裏があります。良いことがあれば、その逆のこともあるでしょう。「天高く馬肥ゆ」の意味を忘れず、市場の動き、ライバルの動きを見ながら、好機を逃さず足をすくわれないように取り組みたいものです。

令和3年9月27日