「矢立て」をご存知でしょうか?

先日、「矢立て」を入手しました。「矢立て」をWikipediaで調べてみると、次のように記載されています。

矢立(やたて)とは、筆と墨壺を組み合わせた携帯用筆記用具。材質は金属・陶・竹・木などがある。形状は角材状の本体に墨壺と筆の収納部を設け、その上にスライド式に開閉する蓋を取り付けた檜扇型と、墨壺に筆を収納する筒を取り付けた柄杓型、墨壺と筒を紐で繋いだ印籠型に大別される。柄杓型は一見喫煙パイプのような形をしている。頑丈で握り具合も良く、携行していても怪しまれないため、筆筒に針や刃を仕込んだ物は護身用の隠し武器としても重宝された。

私が実際に持っているのは下の写真の通りになります。これ以外に3本、計4本を持っているのですが、なかなか良くできています。作られた時代はわかりませんが、江戸時代とは思えないので、大正時代以降のものだと思います。万年筆の普及、生活様式の変化、筆ペンの登場などにより、現在ではほとんど見かけることは無くなり、入手が困難になりました。

矢立て①

矢立て②

 

 

 

 

 

見ての通り、墨を入れる場所、筆を収納する場所があり、なかなか良くできており、実際に使用することもできます。洗練されている印象も受けます。

広島県熊野町は筆の産地で、現在では「化粧筆」が有名になっています。私も熊野筆メーカー様の何社かと一緒に仕事をさせていただきましたが、通常の筆から「化粧筆」や「画筆」にシフトしているのが実情です。

この「矢立て」、字を書くことはもちろん、外で絵手紙を書いたりする時にも使えそうですし、現代に蘇らせても面白そうな気がします。

書道用、絵画用の筆が再評価されるようことがあれば、この矢立ても再評価されることがあるかも知れません。

また、江戸時代には「隠し武器」にも使われていたようですし、他の方法にも使用できるかも知れません。

今度、筆メーカーさんに持参して、色々と意見をお聞きしたいと思っています。

令和3年4月22日