日本NO1のツアープロデューサーは誰でしょう?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で旅行関連業界は大きな打撃を受けました。特にインバウンドは壊滅的で、新型コロナウイルスが終息しても元の状態に戻るかどうかはわかりません。

新型コロナウイルス後は、旅行業界を活性化させるようなツアープロデューサーの登場が望まれるかも知れません。

私は旅行に行くのは好きですが、旅行業界に詳しいわけではないので、「参考になる事例を教えて!」と聞かれてもなかなか浮かばないのですが、「凄腕のツアープロデューサーを教えて!」と聞かれたら「弘法大使(空海)」とお応えしています。

弘法大師は1200年ほど前の平安時代、香川県善通寺市に生まれました。遣唐使で中国に渡り、中国より真言密教をもたらした真言宗の開祖としても知られています。

弘法大師と言えば、「四国八十八箇所」が有名です。弘法大師ゆかりの四国にある88か所の仏教寺院の総称で、四国霊場の最も代表的な札所になります。四国八十八箇所を巡礼することを四国遍路、遍路といい、各札所を巡ってお札を収めたり、御朱印をいただいたりしながら、巡礼者はそれぞれの目的を祈願します。その距離は全周で1400㎞になります。

宗教的な思想などを除けば、「周遊型観光」ですし、「スタンプラリー」だったりするわけで、お寺そのものに落ちるお金以外にも、長期間の旅行で発生する「宿泊費」「飲食費」は膨大になります。「御朱印帳」に代表される「グッズの販売売上」もかなりものと思われます。

恐らく、お遍路さんをターゲットとして、宿泊施設、飲食施設が整備され、お土産物などの特産品も開発されたのではないでしょうか?それが四国全体に点在しているわけですから、経済効果は絶大と言えるでしょう。

実際、88か所を巡るのは大変で、1400㎞は車でも大変です。そのため、参加しやすい工夫もされていて、一度に周らなくても、順番を問わず、分割して巡っても良いことになっており、参加しやすい要因になっています。そのため、遠方からだけでは無く、地元の参加者も多いそうです。

実際には、弘法大師が定めたのか、弟子の方なのか、他の方なのかは様々な伝承があり、不明な点もありますが、弘法大師の盛名がきっかけとなったことは間違いありません。1200年に渡り、生まれ故郷のある四国にもたらした経済効果、ブランド効果などは絶大ですから、弘法大師は有史以来、日本NO1のツアープロデューサーと言えるでしょう。

日本古来の旅行としては、お伊勢参りなどもありますが、このような「昔からある旅行」について、色々と調べてみると、これからの旅行業界にとってヒントになることもあるような気がします。

令和3年4月25日