鼎の軽重を問う!?

先日、仕事先で「鼎の軽重を問う」という言葉がでました。社長が後継者に対して話をしていたのですが、なかなか古風な故事が出てきたな!と感心しました。

辞書を引くと「統治者を軽んじ、これを滅ぼして天下を取ろうとする。人の実力を疑って、その地位をくつがえそうとする。また人の能力を疑う。」という意味が解説してありました。

私は古代中国の歴史本を読むのが好きなのですが、この由来は春秋時代に遡ります。

春秋五覇の一人として知られる「楚の荘王」が周の王孫満に面会した時、周王室が保有している「鼎」の重さを尋ねました。

「鼎」は、周王朝以前の王朝である殷王朝の時代から受け継がれた宝器で、王権の象徴とみなされていたものです。その重さを尋ねるということは、「それを持ち帰ること=周王朝の王位を奪うこと」と言う意味となり、王朝を奪う恫喝と言えます。

王孫満は、恫喝に怯むことなく「周王朝が現在あるのは徳によるものであり、鼎の軽重によるものではない。周王朝は衰えているが、鼎が周王朝にあるということは徳は衰えていない」と答えて、荘王は兵を引くことになりました。

普段、使う言葉ではありませんが、経営者として知っていて良い言葉かも知れません。社長が後継者に対して「まだ鼎の軽重を問うのは時期が早い」のように使うのが使用例でしょうか。

実は春秋戦国時代には、現代にも伝わる故事がたくさんあります。

自分自身の勉強を兼ね、機会を見てご紹介していきたいと思います。

 

令和3年5月25日