顧客視点の経営とは

直接、お客様との接点がある小売業はもちろん、製造業においても、
「顧客視点」や「消費者視点」の経営が重要になっています。

売り手の都合や作り手の都合ではなく、実際に商品を購入したり、
利用したりする立場に立って、様々な方策を立てなくては、お客様に
支持される店舗や、売れる商品作りが実現できないのは当然のことですし、
それは、多くの方が認識していることだと思います。

少子高齢社会を向かえ、スーパーマーケット等では、高齢者向けや
単身世帯向けの個食対応に取り組み、バラ売りや、少量パックの
販売に力を入れています。
これは、恐らく正しいですし、利用されるお客様も多いと思います。
しかし、なかなかうまく売れない店舗もあるかもしれません。

あるスーパーマーケットで、モニター会員を募集し、高齢者の方から
ご意見をいただきました。一人暮らしの方でした。

「同じ味のコロッケが3個入りで安いけど、食べきれない。違う味を
3個組み合わせて欲しい。」

小売業の感覚では、一人暮らしの高齢者の方は、バラ売りで1個購入
するはずという思い込みがあるかもしれません。通常、売場にある「同じ
味の3個パック」は、複数人数の家族向け商品として売場に並んでいます。
3個パックの方が、お買い得だったりもします。わざわざ高い1個を買わ
なくても、お得な商品を購入したいと思われる高齢者の方も中には
いらっしゃるかもしれません。

「顧客視点」といいつつも、「思い込みの顧客視点」で、物事を考えていることは
ないでしょうか?当事者しかわからない「視点」は多くあると思います。
「高齢者はコロッケは1個しか食べない」というのも思い込みかもしれません。
冷蔵庫がある現代社会では、1日で食べ切る必要はありませんから。

モニターヒアリングからは、他にもいろいろと有益な情報を得ることができました。
そのほとんどが、業界の常識とは異なる意外なご意見でした。

顧客視点の経営を行うには、「思い込み」に捉われず、実際に聴いてみない
とわからないことが多くあります。
興味のある方は、ぜひ、お試し下さい。

「顧客視点の経営をしている」と思い込んでいる競合よりも、
先に取り組むことをおすすめします。

 

平成21年7月28日