中小企業診断士の仕事⑤

中小企業診断士の仕事内容について書いている続きになります。

今回は③商工会や商工会議所の専門家派遣について書きます。

各市町村には必ず、商工会や商工会議所があります。

商工会は「町」「村」にあり、商工会議所は「市」にありますが、例外的に「町」に商工会議所がある場合もありますし、「市」に商工会がある場合もあります。広島市のように市町村合併している市では、商工会議所も商工会もどちらもあります。

これらの支援機関は、地域内の商工業者の経営の改善に関する相談とその指導、地域内経済振興をはかるための諸活動及び社会一般の福祉の増進に資することを目的として、幅広い活動を行っています。

その活動の一環として、中小企業診断士などの専門家を専門家派遣として活用しています。

専門家としての謝金は、1回あたり、30,000円~50,000円が相場だと思いますが、まちまちだったりします。県や市町村でも異なると思います。

これらの専門家派遣については、経営相談が目的になるので、中小企業診断士が専門家として呼んでいただける機会は比較的多いと思います。

私の場合であれば、「経営計画作成支援」「補助金の支援」「売場指導」「商品開発支援」などでご依頼をいただくことが多いです。

駆け出しの中小企業診断士でも仕事をいただけることが多いので、独立した当初は、商工会や商工会議所に営業に行く方も多いと思います。

専門家派遣の依頼を受ける方法としては、まず、先方に知っていただく必要がありますから、飛び込みで営業に行く方法もあると思いますし、自分自身が商工会や商工会議所の会員になる方法も良いと思います。(私も広島商工会議所の会員です)

どこかの商工会や商工会議所で仕事をいただけるようになれば、その後は他の商工会や商工会議所を紹介していただけることも増えるので、自然と仕事は増えてくると思います。

ただし、他の専門家と比較されると思いますので、継続して仕事をいただくには工夫が必要だと思います。

工夫のコツについては詳しくは書きませんが、商工会や商工会議所の指導員さんの立場になって、「どんな専門家に仕事を頼みたいか?」と考えていけば、答えは見えてくると思います。

少なくとも、自分自身の得意分野を明確にして、「〇〇を依頼するなら中小企業診断士の〇〇さん!」と思っていただける存在になる必要があると思います。

また、商工会や商工会議所の専門家派遣の仕事だけで食べていけるかどうか?ですが、理屈で考えれば、複数の商工会や商工会議所からの仕事をたくさん受けることができれば可能とは思われます。ただし、「毎日仕事はない」「謝金単価には相場がある」ことから考えると、それだけで高収入を得ることは難しいと思われます。

中小企業診断士として独立当初については、営業にも行きやすいですし、ベースになる収入を得ることができますし、重要な仕事先になると思います。

また、メリットについてですが、不景気になると民間企業向けのコンサルタントは契約を切られる可能性が高くなりますが、商工会や商工会議所からは逆に仕事の依頼が増える傾向があります。その点、不景気に強い仕事先とも言えます。また、商工会や商工会議所は専門家派遣以外の事業もしていますので、セミナーなど別の仕事をいただける可能性がある、こともあります。

逆にデメリットですが、前述した「毎日仕事はない」「謝金単価には相場がある」以外には、「担当の経営指導員さんが異動すると仕事がなくなる可能性がある」というものがあります。やはり、人との関係は重要です。

ざっくりと書きましたが、中小企業診断士として仕事をしていくためには重要な仕事先になると思います。

令和3年10月2日