師の言葉⑧

広野先生の言葉の8回目となります。

広野先生と話をしている時に、ライフプランの話題が出てきました。

ひと通りの話を済ませた後、広野先生からこのような話がありました。

「私はね、昔、デスプランを作成する必要性があると考えてね。仲間を集めたんだけど、誰も集まらなかったんだよ。大事なことだんだけどねぇ」

いつものように楽し気に、目を閉じて何かを思い出しながら笑いながら話をしてくれました。

その時はあまりピン!とこなかったのですが、数年前から「エンディングノート」が一般的になっていますし、今となってはなんとなくわかります。

「これからどう生きていくか?」と同じように「これからどのように死ぬか?」ということは、とても重要だと思います。

凄いなと思ったのは今から20年ほど前だと思いますし、広野先生が「昔」と言われていたので、40年以上前の話だと思います。

そのタイミングで死に対してどのように臨むのか、準備をしていくのかを提唱さえていたのは先見の明があるな・・・と、たまに思い出してしまいます。

令和3年12月12日

師の言葉⑦

広野先生の言葉の7回目となります。

広野先生には、いろいろな指導を受けましたが、ある時、少し規模の大きな調査事業がありました。

多くの資料を作る必要があり、作業にかなりの時間を要することになりました。

締切が近づいたある日、仲間の誰かが「最悪、徹夜したら締め切りに間に合うだろう!」のような話をしていたのですが、それを聞いた広野先生家から、

「資料のプレゼンを聴く相手が見たいのは、充血した目の発表者ではなく、知的に澄んだ目を持った発表者だよ。徹夜するような話はやめなさい」

という言葉がありました。

広野先生自身が部下の方によく言っていた言葉とのことで、実際に徹夜した部下の方に「充血した目を氷水で目を冷やしてきなさい」と言っていたそうです。

人を説得するためのプレゼン資料なわけですが、確かに、充血した目でボロボロになった発表者が説明しても説得力が無いような気がします。

今でも、講師の仕事をする時には、資料の品質だけではなく、講師自身の品質も維持しておかなければ・・・と思うようになりました。

実際、無理な仕事をしてしまって実現できていない時もあるので反省が必要ですね。

令和3年12月9日

師の言葉⑥

広野先生の言葉の6回目となります。

広野先生には、店舗の指導方法などについても色々とアドバイスをいただいていました。

ある日、店舗を一緒に訪問することがありました。

店長と面談した時、広野先生はいくつかの質問をしました。

「店長、目の前にマンションがあるけど何世帯のマンションですか?あと、管理会社はどこですか?」

店長は「よくわかりませんが大きなマンションですよ!」と答えます。

続けて、「ここの店に来るとき、新しいマンションが建設中でしたが、何世帯のマンションでいつから入居が始まるかご存知ですか?」と質問をします。

店長はここでも、「よくわかりませんねー」と答えます。

一通りの話を終え、視察を終えて帰る際、私と二人になった時に広野先生は言いました。

「ここの店長、商圏やターゲット顧客への関心が薄すぎる。これでは何をしてもダメだね・・・。競合店を見に行くまでもない。」と話して、本当に競合店を見ることもなく帰ってしまいました!

確かに指摘された通りだと思いました。

長く店舗を運営していると「お客様が来店するのがあたりまえ」と思ってしまいます。

しかし、それはあたりまえのことではありませんし、商圏は常に変化しています。

今でも、初めてお会いする小売店の方には、「地域内の商圏のこと」「競合店のこと」から質問するようにしています。

令和3年12月5日

師の言葉⑤

広野先生の言葉の5回目となります。

広野先生には、研修や会議の企画などについても色々とアドバイスをいただいていました。

色々な企画を立てても、「あたりまえすぎたり」「逆に壮大で難しそうだったり」と、なかなか先に進みません。

そんな時、広野先生はきまってタバコの火を消しながら、「いきなり大きなことをしようと考えなくても良いと思うよ。企画でも商品開発でもだけど、小さく生んで、大きく育てるように考えたら良いんじゃないかな。まずは生まないと何も始まらないよ」とニッコリと微笑みかけてくれました。

続けて、「あど、どうやって育てるのかはしっかりと考えとかないとね。そこからが本当の仕事だよ」と付け加えることも忘れません。

今の仕事を始めてからは、商品開発の支援をさせていただいたり、売場改善のお手伝いをさせていただくことが増えましたが、そのような時、必ずこの言葉を思いだします。

そして、行き詰っている時には、少しだけ広野先生の真似をしながら「小さく生んで大きく育てるように考えてみませんか?」という話をさせていただきます。

まだまだ広野先生ほど上手には話せませんが、いつかは話せる日が訪れるかもしれませんね。

令和3年11月5日

師の言葉④

広野先生の言葉の4回目となります。

サラリーマン時代、広野先生には会議や研修で色々と活躍していただいていました。

広野先生のセミナーの内容、話し方、立ち居振る舞いなど、自分自身がコンサルタントとして研修を行う際にも大いに参考になっています。

あるセミナーの後、「広野先生のセミナーの内容とかコメントとかわかりやすいですよねー」みたいな話をしました。

広野先生からは、「褒めてくれてありがとう。でもね、私はレッスンプロでは無くて、ツアープロだからね。」というお話がありました。

また、「コンサルタントにはね、ゴルフで言うところのレッスンプロとツアープロがいるんだよ。私はどちらもできるけども、どちらかしかできないコンサルタントも多い。もし、コンサルタントになるんだったら、レッスンプロとツアープロのどちらを目指すのかは、しっかりと考えておいた方が良いね。」と言われました。

その頃、私はコンサルタントになるつもりはありませんでしたし、もちろん中小企業診断士でもありませんでしたし、そもそも独立する気もありませんでした。

今にして思えば、私がコンサルタントになることを予測していたのかも・・・と少し不思議な気がしています。

令和3年11月2日

師の言葉③

広野先生の言葉の3回目となります。

さて、私の勤め先はスーパーマーケットでした。

広野先生は会議や研修の場で、過去に実績のあるコンサルティング、研修先として、誰もが社名を知っているような「自動車メーカー」「最大手の家電メーカー」などの社名を挙げられていました。

受講者からは「スーパーマーケットや流通業界を知らないコンサルか!」と言った雰囲気が見え隠れして、さらには業界人としてのプライドもあって、広野先生と本音で議論する人間もいたと思います。

一方で私が感じていたのは、「その割に広野先生は流通も詳しいなぁ」ということであり、その旨をお話しました。

広野先生からは、「あー、私は流通大手のコンサルティングをしていたからね」という回答があり、実際に最大手のスーパーマーケットのコンサルタントをしていたことがわかりました。

思わず、「何故、流通業のコンサルタントをしていて業界に詳しいことを皆に伝えないのですか?」と聞いたところ、

「私が、業界の最大手のコンサルをしていたことがあり、業界に詳しいことを言ったら皆が萎縮して意見を言わなくなっちゃうでしょ?私は業界のことを知らないふりをして、彼等のプライドを刺激しながら進行したほうがスムーズに進むと思わない?」と言われました。

コンサルタントとしていると、人にものを教える立場から、「自分はその業界に強い」ということを打ち出してしまいたくなるのですが、敢えてそれをしないことで衝撃を受けたのを覚えています。

正直、なかなか真似できずにいますが、どこかの場面では広野先生の立ち居振る舞いを参考にした対応を行いたいと思っています。

令和3年10月28日

師の言葉②

広野先生の言葉の2回目になります。

ある時、勤め先で会議やセミナーを開催していましたが、広野先生にも参加していただいていました。

会議の進行上、私や上司が前に立って話をすることがありましたし、広野先生にコメントをいただくことがありました。

休憩時間、広野先生のコメントについて、いくつか質問や感想を話していました。個人的にはよく考えられたコメントで凄いなぁ、と思っていて、その旨をお伝えしたのですが、広野先生からはこのような回答がありました。

「あのね、コメントは、今、思いついて話しているように見えたと思うけど、前から考えておいた内容なんだよ。あなたの立場なら思いつきでコメントしても良いけど、私の立場で思いつきでコメントしたらダメなんだよ。プロはアドリブで話してはダメだよ」と、いつもの笑顔で教えていただきました。

その後、私が研修などで糧を得る仕事をすることになるとはご存知なかったと思うのですが、今にして思うと予言されていたのかもしれません。

今でも研修などの準備をする際には、このことを思い出してテキストなどを作成しますし、コメントなども事前に準備するようにしています。

その他、広野先生の立ち居振る舞いを含めて、講師の仕事をする上で必要な本質的な部分を教えていただいたような気がしています。

令和3年10月27日

師の言葉①

今週は兵庫県姫路市で研修の仕事をしています。

宿泊先のホテルから研修会場までは徒歩で15分程度かかりますが、朝から歩くと少し息切れがしてしまいます。年齢が原因か、運動不足が原因か、両方でしょうか。まあ、30分以上前に到着しているので、特に問題はありませんが。

研修会場に到着した時、自分がコンサルタントの仕事をするきっかけになった広野先生の言葉を思い出しました。

広野先生は、サラリーマン時代にお世話になったコンサルタントの方ですが、色々と連れ出していただいたり、色々と教えていただいた先生です。広野先生に会わなれば、私は今の仕事をしていなかったと思います。

今回、思い出した言葉です。

ある日、こちらの段取りが悪くてバタバタしていた時があったのですが、遅れても良いから落ち着いて動くように言われました。

「私はね、仮に遅刻をしたとしても絶対に走ったり、エレベーターを使わずに階段で登ったりはしないんだよ。無理やり間に合わして、講師が息切れしていたらみっともないでしょう?まあ、そもそも遅れないように動くけどね」とニッコリして言われたことを思い出します。

正直、社内の会議でしたし、多少遅れても問題は無かったので、私が落ち着くようにわざと言ってくれたのかな・・・と、その時は思いました。

今、こうして講師の仕事をしていると、ふと思い出すことがあります。

幸いなことに、ギリギリで走って現地に入るような事態はなかなかありませんが、少しでも早く現地に到着する意識を持つきっかけになったと思います。

他にも、色々と広野先生に言われた言葉がありますが、思い出したらご紹介したいと思います。

自分自身が忘れないために書き残す意味もありますが・・・

令和3年10月22日